市立貝塚病院
乳がん看護認定看護師
梅本 郁奈子
乳がんは日本人女性の中で最も多く、9人に1人の日本人女性がかかるがんと言われています。2019年の厚生労働省の統計によると、年間約97,000人が乳がんと診断されており、誰がかかってもおかしくない病気です。一方で、乳がんは自分で発見できるがんであり、早期発見することで90%以上が治ると言われています。
実際に市立貝塚病院で乳がんと診断された患者さんの約50%は、自分でしこりを見つけて来院されています。乳がん検診は重要ですが、検診だけに頼らず、日常のセルフチェックを習慣にして続けることが最も重要です。
セルフチェックの方法は、今日からでも実践できる「ブレスト・アウェアネス」という考えが定着しつつあります。この「ブレスト・アウェアネス」は、「乳房の状態を日ごろから意識する」という考え方です。「乳房の状態を日ごろから意識する」ということは、例えば着替えの時、入浴時、就寝前など、気軽に触って変化がないか自身で感じることを習慣にする、ということです。以前は手順やマニュアルにそった自己検診、自己触診を毎月実施していただくようお伝えしていましたが、これでは少し荷が重く感じませんか?正確に実施できないと感じて投げ出してしまえば、せっかく検診を受けていても次の検診までの間の乳房の変化に気付けないといった可能性があります。
また、乳がんの早期発見に欠かせないのが乳がん検診です。検診で異常がなかったことを確認した上で、検診と検診の間の期間はセルフチェックを続けていただきます。これを継続することが大切です。
乳がん検診は40歳以上の偶数年に2年ごとに受けることができ、39歳以下の方は各自治体によって異なります。乳がん検診を含むすべての検診に関しては、お住まいの市町村の保健センターまたは、当院、健診センターなどにお尋ねください。
乳がんは誰にでも起こる可能性のある身近な病気です。あなたのため、大切な人のためにも、セルフチェックを生活に取り入れることと定期的な乳がん検診を続けていきましょう。
最後に、がんへの漠然とした不安など含めて、当院の看護師が無料で行っている総合看護相談でご相談ください。