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「肝がん」について

沈黙の臓器 - 肝臓

肝臓は、脳に続いて2番目に大きな臓器で、物質の代謝・解毒・胆汁の生成など「体内の化学工場」のような働きに加え、栄養分を蓄える貯蔵庫としての役割を担っています。
肝細胞が障害を受けても残った肝細胞でその機能を代償する予備能力が高く、かなり病気が進んだ状態でも支障がありません。それ故に症状を自覚できないことが多いため「沈黙の臓器」と呼ばれています。黄疸や腹水などの症状が出た時には、病状が進んだ状態と考えられます。

肝がんの原因

肝がんには、肝臓で発生した「原発性肝がん」と、他の臓器から転移した「転移性肝がん」があります。
「原発性肝がん」の9割は肝細胞に発生する「肝細胞がん」で、残りの1割は胆管の細胞から発生する「胆管細胞がん」です。
「肝細胞がん」の原因には、肝炎ウイルス感染の他、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、自己免疫疾患による自己免疫性肝炎や、胆汁性肝硬変などがあります。

肝がんと肝炎ウイルス

「肝細胞がん」の発生原因の7割弱がC型肝炎、2割弱がB型肝炎のウイルス感染と言われ、肝細胞がんの90%以上が肝炎ウイルスの感染によって起こっていることになります。しかし、肝炎が発症しても急性肝炎で完治し慢性化しなければ、肝硬変から肝がんへと移行することはまずありません。

B型肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルスの感染から慢性肝炎や肝硬変になり、がんに移行するケースがほとんどです。まれにウイルスが直接肝臓の細胞遺伝子に入り込み発がん原因となることがあり、その場合は肝機能がさほど悪くない時期から発がんすることもあります。
B型慢性肝炎患者さんの大部分は、B型肝炎ウイルスを持っていても発症していない(キャリア)母親から出産時に感染した方です。現在、母子感染防止対策事業として、妊婦に対するB型肝炎ウイルス検査(HBs抗原検査)が実施され、感染の発生も少なくなってきました。

C型肝炎ウイルス

C型肝炎は血液や体液から感染し、感染力は弱いのですが、急性肝炎から慢性肝炎に移行する割合が高いのが特徴です。感染後20~30年後に、慢性肝炎や肝硬変からがんになることが多いと言われています。
しかし近年は、感染対策の広がりと共にC型肝炎患者は減少しています。

注目される「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」

肝がん発生原因の1割を占め、またウイルス性肝炎以外の原因として注目されているのが「非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis; NASH)」です。
NASHは生活習慣病(肥満・糖尿病・高血圧など)を持つ人を中心に患者数が増加しています。
無理なダイエットやリバウンドで「脂肪肝」となりNASHに移行することもあるため、痩せている方やアルコールを飲まない方も、決して肝がんと無縁ではありません。
生活習慣や食生活を改善し「脂肪肝」から「脂肪性肝炎」に進行させないことが重要です。

非アルコール性脂肪性肝炎(NASHI)

肝がん検診のすすめ

肝がんを早期に発見するために、ウイルス性肝炎から肝がんへ進行させないために、定期的に検診を受けましょう。
特に、B型・C型肝炎、NASHと言われたことのある方は、年に一度の定期的受診をおすすめします。

検診センターでの「がん検診」肝臓オプション

当院「健診センター」の「がん検診」には「肝臓オプション」があり、腹部CT・腫瘍マーカー検査(AFP)の検査を行っています。
CT検査は痛みもなく短時間。また、腫瘍マーカー検査も、採血だけと簡単です。