肝がん治療には、外科的治療や放射線治療のほか内科的局所治療など、幅広い治療法があります。
当院は、「大阪府肝炎専門医療機関」に指定され、肝臓の専門的治療を受けられる施設で、「肝癌ガイドライン」を基本に病態に応じた治療を行っています。
肝臓は、肝細胞が障害を受けても残った肝細胞でその機能を代償する能力を持っています。再生能力も高く、健康な肝臓であれば70%近く切除されてもほぼ元通りの大きさに戻ると考えられています。
しかし、慢性肝炎や肝硬変で再生能力が低下していると、残った肝臓の機能が不十分で命に関わる事態にもなりかねません。そのため、肝切除術は肝機能がある程度良好であることや腫瘍の数が少ないことが条件となります。
肝臓がんは肝炎や肝硬変などの基礎疾患があり肝機能が低下している場合が多いこと、多発しやすいことなどから、手術(外科的治療)が困難な場合もあります。
肝臓は位置的に心臓に近いこと、多くの血管が張り巡らされていることから、手術には大量出血の危険が伴い、外科的治療を困難にしていました。
1980年代からは、肝臓を8ブロックに分けてそれぞれの部分だけを切除する区域切除術が開発されたことで、出血量も大幅に下がり、治療成績も飛躍的に向上しています。
腹腔鏡下手術は、皮膚を数カ所切り開いて穴を作り、腹腔鏡(内視鏡カメラの一種)と手術器具を腹腔内に挿入して行います。大きく切り開かないため、身体への負担の少ない低侵襲手術です。
当院は2013年7月に『腹腔鏡下肝切除術』の施設認定を受け、肝臓がんの腹腔鏡下手術が保険適用となりました※がんの発生場所などにより保険適応外となる場合もあります。
内科的局所治療(=経皮的治療)で、がんに直接針を刺して行う治療です。
がん細胞を局所的に集中して治療するため、正常な細胞への影響が少なく身体に負担の少ない治療方法です。がんの数に合わせて繰り返し行います。
「ラジオ波焼灼療法(RFA)」と「エタノール注入療法(PEIT)」があります。
X線(レントゲン)や超音波像、CTなどの画像を見ながら体内に細い管(カテーテル)や針を入れて治療する、身体への負担が少ない治療方法です。
「経カテーテル動脈塞栓法(TAE)」と「動注療法」があります
穿刺による局所的治療が困難な部位に腫瘍がある場合や出血傾向が高い場合、患者さんに体力が無い場合などに考慮されます。
これまで肝臓に放射線治療が行われることはあまりありませんでしたが、放射線治療装置の高度化などにより、肝臓への放射線治療が可能になりました。
当院の放射線科では、かん細胞の形に合わせて放射線を照射し周囲の細胞への影響を軽減できる最新型の高精度放射線治療装置での治療が可能です。
※腫瘍の大きさや場所によっては適応外となることもあります。