骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨の構造がスカスカに弱くなる病気です。自覚症状が乏しく、骨折していても気が付かない場合すらあります。
加齢に伴い骨が弱くなることは避けられませんが、適切な生活習慣で骨の強さを維持し早期に治療を始めることで、骨折などを予防することができます。
当院では、骨粗鬆症の精密な診断のもとに専門的な治療を行っています。
骨は、破骨細胞が古い骨を破壊(骨吸収)し、骨芽細胞が新しい骨を作る(骨形成)ことで常に代謝をしています。1年間に20~30%の骨が新しい骨に入れ替わると言われています。
骨粗鬆症は、骨形成が追いつかなくなり、骨がスカスカでもろくなった状態です。
閉経による女性ホルモンの分泌低下が骨密度を低下させるため、女性に多く見られます。この他、遺伝的要因・骨を作るのに必要な栄養素の不足・運動不足なども原因となります。
バランスのとれた食事や適度な運動を心がけることにより、骨密度の低下を防いだり、低下の速度を遅らせたりすることができます。
病気や薬により、骨の代謝に影響を及ぼすホルモンが不足したり、骨形成に必要な細胞などに異常が発生することなどが原因で起こります。年齢に関係なく、危険因子のある病気をお持ちの方は注意が必要です。
骨がもろくなることで、ちょっとした動作や衝撃を受けた際に、自身の体重を支えきれず、骨折したり骨そのものが潰れたり(圧迫骨折)してしまいます。そのため、骨粗鬆症になると脊椎の圧迫骨折や転倒時の大腿骨骨折など、寝たきりや要介護につながる状態になりやすくなってしまいます。しかし自覚症状が少なく、脊椎の圧迫骨折などは、ただの腰痛と考え骨折と気が付かない場合もあるため注意が必要です。
腰が曲がってきた、背が低くなった、立ち上がる時に背中や腰が傷む・・などの症状や違和感を感じた時は、年のせいと放置したり我慢せず早期治療を行うことが、イキイキとした生活と介護予防に繋がります。
骨粗鬆症の検査には、骨の量の指標である「骨密度」測定と、骨の新陳代謝の指標となる「骨代謝マーカー」の測定や、骨の形状検査があります。
骨密度(骨量)の測定には様々な方法がありますが、当院では、最も信頼度が高いとされる『二重X線吸収測定法』による測定を行っています。 骨粗鬆症の精密検査のほか、骨粗鬆症の治療効果の経過観察、骨折の危険性予測に有用です。
エネルギーの異なる2種類のX線を骨に透過させることで、骨成分を他の組織と区別して測定します。測定した骨量(g)を単位面積(cm2)で割った値が骨密度です。
X線診断では、画像により骨の形状を見ることができるため、背骨(椎体)の圧迫骨折の有無なども確認できます。
骨粗鬆症の治療は、骨折を防いで寝たきりにならないことを目的とし、薬を中心に食事療法や運動療法を併用して行います。
骨粗鬆症の薬には様々な種類があり、骨粗鬆症の原因や状態に合わせて選択されます。また、薬の開発も目覚ましく、次々と新しいタイプの薬が出ています。
骨強度を維持・増加させる生活習慣の改善も大切です。
骨の形成には重力や運動による刺激が必要なため、運動不足は骨密度の低下に繋がります。適度な運動を行いましょう。