子宮体部は妊娠した時に胎児を育てる部分で、子宮内膜組織から発生するのが子宮体がんです。40歳代後半から増加し、50歳代60歳代の罹患率が高くなります。
当院では平成24年10月に、当時先進医療であった「腹腔鏡下子宮体癌根治手術」の施設認定を取得しました。平成26年4月1日からは、認定施設で行う場合のみ保険適応となっています。当院責任医師は、当術式に関して多数の経験があります。
自覚症状として重要なのは不正出血です。おりものに血や膿が混ざるなどの異常がある場合も、検査を受けてください。発症時期が更年期や閉経の時期に重なることが多いですが、不正出血などのサインを「ホルモンバランスの乱れ」などと判断して見逃さず、早期発見することが重要です。
下腹部痛や下肢の浮腫や痛み、排尿障害や排便障害が起こることがあります。
子宮体がんの発生は、エストロゲン(女性ホルモン)の子宮内膜への刺激が長く続くことが原因とされるものが約80%、残りはエストロゲンとは関連のない原因と言われています。エストロゲンが原因となる子宮体がんでは、エストロゲンにさらされている期間が長い程リスクが高くなります。皮下脂肪もエストロゲンを作ることに関与するため、肥満の方も高リスクとなります。
当院では、積極的な手術治療でⅠ期では100%に近い5年生存率という治療成績を上げています。
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医および日本婦人科腫瘍学会専門医の高い技術のもと、体への負担が少ない腹腔鏡下手術も受けていただけます。
治療は手術による子宮および両側卵巣・卵管の摘出が中心となります。
病巣の摘出が難しい場合や手術後の補助治療として、化学療法(抗がん剤)や放射線治療なども行う場合があります。また、妊娠を望まれる場合は、がんの種類によってはごく初期の場合に限り、ホルモン剤による治療の道もあります。病勢によってリンパ節を取り除くリンパ節郭清(骨盤~傍大動脈リンパ節郭清)を追加します。
市民検診など、一般的に「子宮がん検診」と言えば、子宮頸部細胞診による「子宮頸がん検診」のことです。子宮体がんの検査は、何らかの自覚症状が出た際に受けることになります。自覚症状を見逃さず、産婦人科を受診してください。しかし、特に子宮体がんの発症リスクの高い方は、定期的な検診をおすすめします。
当院の健診センター「がん検診」には、女性オプションがあります。子宮頸がんだけでなく、子宮体がんも対象にした「婦人科エコー検査」や「腫瘍マーカー検査」なども受けられます。
子宮体がんの診断には子宮内膜細胞診などが必要ですが、「エコー検査」や「腫瘍マーカー検査」は診断のための検査を行う前のスクリーニング(ふるいわけ)として有効です。