令和２年度 市立貝塚病院 病院指標

内科疾患全般を取り扱っていますが、専門医による「循環器内科外来」、「糖尿病・内分泌内科外来」などの専門外来を設けており、より専門的な診療を幅広く行っています。入院では、2型糖尿病に対してのインスリン導入や、血糖コントロール、食事療法や運動療法などの教育入院が多くなっています。次に狭心症などに対する心臓カテーテル検査入院や、心不全の内科的治療のための入院が多くなっています。

小児科では、15歳（中3）までのお子さんを対象に、内科総合診療を行っています。また、「腎臓疾患外来・循環器外来・アレルギー外来」など専門分野の特別外来も開設しています。入院では、食物アレルギーに対し、安全に食べていくことを目指した、食物アレルギー経口負荷検査を多く行っています。これは、食物アレルギーの原因と疑われる食物を少量から複数回摂取し、症状の有無を確認する検査です。原則、日帰り入院として実施しています。食物経口負荷検査によりしっかり診断することで、養育者やお子さんの生活の質の向上や不安を取り除けるよう務めています。

胆嚢疾患、鼠径ヘルニア、大腸がんにおいて、腹腔鏡下手術が多くなっています。当院では、「低侵襲外科手術センター」を開設しています。傷が小さく体への負担が少ない腹腔鏡下手術ですが、より多くの方に安心して手術を受けていただけるよう、当センターでは、各診療科医師、手術室スタッフ、臨床工学技士が連携を図り、より安全かつ質の高い医療を提供できるよう取り組んでいます。

整形外科では、高齢者の転倒により生じることが多い、大腿骨の骨折や、胸椎や腰椎の圧迫骨折入院が多くなっています。また、人工関節センターでは、股関節症及び膝関節症の患者さんに対する人工関節置換術を実施しております。当院は、令和2年10月より「地域包括ケア病棟」を開設しています。急性期の治療が一段落したものの、すぐに自宅へ帰ったり、施設等へ入るには不安のある患者さんが、もう少しの間、入院療養を続けるための病棟です。病棟には専従のリハビリ技師を配置し、充実したリハビリを受けていただき、在宅での生活をより安心して迎えられるよう、在宅復帰を支援しています。

泌尿器科では、膀胱がんに対して患者さんの体への負担が少ない経尿道的手術による治療を多く行っています。膀胱がんは、手術や化学療法、免疫療法、放射線療法などを組み合わせた集学的治療による膀胱温存治療を積極的に取り組んでおり、生活の質を重視した治療とケアを行っています。続いて前立腺がんに対する検査入院が多くなっています。尿路結石に対しては、経尿道的尿路結石除去術、尿管狭窄を伴う水腎症においては、経尿道的尿管ステント留置術等を多く実施しています。

当院では、泉州広域母子医療センターの「婦人科腫瘍センター」を併設し、婦人科腫瘍専門医、内視鏡技術認定医が中心となって、泉州地域の婦人科腫瘍拠点病院としての役割を担っています。特に子宮体がん・卵巣がんでは、積極的に手術療法と化学療法の併用治療を行い、進行期のがんに対しても好成績を得ています。子宮筋腫、卵巣嚢腫などの良性疾患に対しては、腹腔鏡下手術を多数行っております。

眼科は、子供の視力障害から高齢の方に多い白内障や緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症など、幅広い診療を行っております。眼科で最も多い入院は、白内障手術目的入院（2泊3日）となっています。最新の白内障手術装置、手術用顕微鏡、硝子体手術装置を導入し、手術時間も短く、安全性の高い手術が可能になりました。令和2年10月から開設した地域包括ケア病棟では、白内障入院など、短期入院の手術等の患者さんの受け入れも行っています。

形成外科で扱う疾患は、体表面を中心として全身のあらゆる部位を治療対象とすることが特徴です。高齢化社会が進むなかで褥瘡、難治性皮膚潰瘍に対しては、在宅医療においても治療の重要性が増しています。当院では令和3年1月から「褥瘡外来」をスタートしています。褥瘡の治療や予防、ご家族や介護担当者への教育指導などを行っています。また、当科における目の周りの手術で最も多いのが眼瞼下垂症に対する手術となっています。そして次に多いのが、乳房再建手術となっています。乳房再建分野では、手術内容やタイミングを考えた上で、どのように「乳がん手術」を行うのか、乳がん手術の段階から、乳腺外科との密な連携をはかりながら、一次再建・二次再建のどちらにも対応しています。

消化器内科では、大腸ポリープに対して内視鏡的治療や、炎症性疾患に対しての検査入院、胆管結石や胆管炎に対するドレナージ治療が多くなっています。当院では、「消化器・肝臓センター」を併設しており「大阪府肝炎専門医療機関」に指定され、ウイルス性肝炎の専門的な診断、抗ウイルス療法の治療が受けられる病院となっています。ウイルス性肝炎をはじめとした慢性肝疾患は、放置しておくと肝硬変、肝細胞がんを引き起こす可能性があります。ウイルス性肝炎の治療法は大きく進歩し、早期の段階で発見して適切な治療を受ければ治すことが可能な病気になりつつあります。肝細胞がんの発生を予防するためにも、患者さんの年齢、病状、肝機能に応じて最適な治療法を選択し、治療にあたっています。

当院では、「乳がん高度検診・治療センター」を併設しており、大阪府南部の乳がん治療拠点病院として多くの手術件数を取り扱っており、乳がんに対する手術、術前、術後の化学療法入院が多くなっています。乳腺疾患に関してより専門性の高い医療を提供できるように、最新の撮影装置や生検装置を導入し、専門的な資格を持ったスタッフと連携しチーム医療体制を整え診療を行っています。

虚血性心疾患（狭心症や心筋梗塞など）に対して、経皮的冠動脈ステント留置術といった心臓カテーテル治療を行っています。心臓カテーテル治療は、腕や足の血管から心臓まで管を通して狭窄した冠動脈を拡張する治療法です。

腹腔鏡下による胆嚢摘出術や、鼠径ヘルニア、虫垂切除術を多く行っています。胆石症などの良性疾患では、傷が1か所でより目立たない「単孔式腹腔鏡下手術」も導入しており、傷が小さいために術後の痛みも少なく、早期の退院が可能になります。また、大腸がんなど悪性腫瘍に対しても腹腔鏡下手術を積極的に行っています。腹腔鏡下手術は、開腹手術に比べ体への負担が少ないため、術後の回復が早く、術後平均日数も短くなっています。

股関節症や膝関節症に対する人工関節置換術が最も多くなっており、次に腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどに対する脊椎固定術が多くなっています。令和2年10月より開設した「地域包括ケア病棟」は、手術などの急性期の治療後、病状が安定したものの、もう少し入院を継続することにより症状の改善が見込まれる患者さんや、すぐに在宅に移行するには不安がある患者さんに対し、治療の継続やリハビリを行い、在宅復帰に向けての準備を整える病棟となっています。主治医、看護師をはじめ、リハビリ技師や医療ソーシャルワーカーが協力し、患者さんやご家族の意向を確認しながら、退院後の生活をイメージした入院生活が送れるよう配慮し、退院後もその人らしく安心・安全な生活が送れることを目指して、退院後の生活を見据えたサポートを行っています。

膀胱がんに対する経尿道的手術が最も多くなっています。膀胱がんは、手術療法だけでなく、BCG膀胱内注入療法による膀胱温存療法も積極的に行っています。次に、水腎症等に対しての尿管ステント留置術や、尿路結石症に対する尿路結石除去術、前立腺肥大症に対する手術が多くなっています。いずれも低侵襲で負担の少ない経尿道的手術で行っています。また、当院では排尿に関するケアに係る専門的知識を有した多職種から成る「排尿ケアチーム」が活動を開始しています。患者さんに使用された尿道カテーテルを 1 日でも早く抜去し、尿路感染を防ぐとともに、排尿自立へ向かっていただくことを目的に排尿自立指導を行なっています。病棟看護師と協力して、排尿自立の可能性や下部尿路機能を評価し、排尿誘導などの保存療法、リハビリテーション、薬物療法等を組み合わせ下部尿路機能回復のための包括的なケアを実施しています。

子宮筋腫や卵巣嚢腫などの良性疾患に対して、傷が小さく、回復も早い腹腔鏡下手術が多くなっています。良性疾患に関しては、腹腔鏡下手術や子宮鏡下手術など、低侵襲な治療を積極的に取り入れています。また、良性疾患では広く実施されている腹腔鏡下手術ですが、当院は、子宮頸がん、子宮体がんの悪性疾患に対しても腹腔鏡下手術の施設認定を取得しており、適応がある場合、患者さんにメリット、デメリットを説明したうえで希望された際は、積極的に実施しています。

高齢者に多い白内障に対する水晶体再建術が最も多くなっています。白内障入院は、2泊3日となっています。仕事やご家庭などで忙しく入院が難しい方には、外来での日帰り手術も実施しています。また、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症等に対し専門性の高い硝子体手術も積極的に実施しています。

乳房再建に対する手術や、眼瞼下垂の手術が多くなっています。乳房再建術では、方法やタイミングなどの選択肢があり、当院では一次・二次再建、自家組織・人工乳房再建、全ての再建手術が可能な施設認定を受けています。

内視鏡を用いた内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術が最も多くなっています。次に多い内視鏡的胆道ステント留置術は、主に胆管結石や胆管炎に対して行う手術となっています。また、肝硬変やがんなどによって貯まった腹水を濾過濃縮して、アルブミンなどの栄養成分を回収し、点滴で体へ戻す治療法である、胸水・腹水濾過濃縮再静注法が多くなっています。血管塞栓術とは、肝臓がんに対してX線、エコー、CT画像などを見ながら体内に細いカテーテルを入れて治療する手術となっています。

乳がんに対する乳腺悪性腫瘍手術が大半を占めています。近年、多様化・高度化する乳がん治療は、患者さんの背景を考慮した手術・化学療法・放射線治療の組み合わせの個別化、「オーダーメイド治療」が進んでいます。そのため、高い専門性を持つスタッフが職種をこえてチームとして連携し、適正な治療方針を決定しています。