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泌尿器科におけるダヴィンチの活用

【泌尿器科部長:安富 正悟】

手術支援ロボット“ダヴィンチ”とは?

先生、まず「ダヴィンチ」について教えてください。

ダヴィンチは、患者さんの体に5~12mmの小さな穴を数か所開け、そこから内視鏡およびロボットアームを挿入し、術者が遠隔操作することで手術を行うロボットです。術者は「サージョンコンソール」と呼ばれる操作ボックスに座り、ロボットアームを自在に操ります。その間、患者さんのそばには助手の医師や看護師が付き添い、協力しながら手術を進めていきます。

ロボット手術のメリットとは?

ロボット手術にはどのような利点がありますか?

ロボット手術には、主に以下の3つのメリットがあります。

  • 高精度な手術が可能

    • ダヴィンチのカメラは非常に高解像度で、術者が拡大視野を得られるため、解剖学的な膜構造や臓器の状態がより鮮明に見えます。これにより、より精密な手術が可能になります。
  • 出血量が少ない

    • ロボットの精密な動きにより、余計な組織を傷つけずに手術を進められるため、出血量を最小限に抑えることができます。
  • 侵襲が少なく、術後の回復が早い

    • 傷が小さいため痛みも少なく、患者さんの回復が早いのが特徴です。

どのような疾患に対応していますか?

ダヴィンチを用いた手術の対象となる疾患と術式について教えてください。

当院の泌尿器科では、主に以下の手術を行っています。

  • 前立腺がん:「ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RARP)」

    • 腹部に6か所の小さな穴を開け、前立腺と精嚢を一塊に摘除します。その後、尿道と膀胱を縫合します。
  • 腎がん:「ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RAPN)」および「ロボット支援腹腔鏡下根治的腎摘除術(RARN)」

    • 腎臓にできた腫瘍を部分的に切除するRAPNと、腎臓全体を摘除するRARNを行っています。腫瘍の大きさや位置によって術式を選択します。
  • 膀胱がん:「ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術(RARC)」

    • 腹部に6~7か所の穴を開け、男性の場合は膀胱・前立腺・精嚢を一塊に摘除し、女性の場合は膀胱・子宮・卵巣を摘除します。膀胱を摘除した後、尿路変向術を行い、排尿のための新たな経路を作ります。

地域の患者さんへメッセージ

最後に、地域の患者さんへメッセージをお願いします。

2024年1月より、当院でもロボット手術が可能になり、泉州地域の患者さんに最先端の手術を提供できるようになりました。手術だけでなく、新しい薬物療法にも対応できる体制を整えています。

当院では、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供することを心がけています。適応に固執せず、患者さんにとって最良の治療法を選択できるよう努めています。地域の皆さんに信頼される医療を提供できるよう、スタッフ一同全力で取り組んでまいります。安心してご相談ください。

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