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産婦人科におけるダヴインチの活用

【産婦人科医長:市川 冬輝】

市立貝塚病院ではロボット支援手術を導入されたそうですね。

はい。当院では2024年1月に手術支援ロボット「Da Vinci Xiサージカルシステム」を導入し、外科・泌尿器科・産婦人科においてロボット支援手術を開始しました。特に産婦人科では、以前から低侵襲手術(内視鏡手術)を積極的に行ってきましたが、新たにロボット支援手術が選択肢に加わったことで、これからも患者さんの体への負担が少ない低侵襲手術を積極的に行っていきます。

ロボット支援手術とは、どのような手術なのでしょうか?

ロボット支援手術は、腹腔鏡下手術の一種で、執刀医がロボットを操作しながら行う低侵襲手術です。手術の際には、お腹に小さな穴を4~5カ所開け、そこから手術器具を挿入します。特徴的なのは、術野が立体的に見える3Dカメラや、多関節鉗子を使用することで、より精密で正確な手術が可能になる点です。特に細かい動きが求められる婦人科手術においては、大きなメリットがあります。

どのような疾患がロボット支援手術の対象になりますか?

当院産婦人科では、2025年1月現在、良性の婦人科疾患に対してロボット支援手術を行っています。具体的には、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮頸部異形成、骨盤臓器脱(子宮脱)などが対象です。これらの疾患は保険適用で手術を受けることができます。

ロボット支援手術のメリットについて教えてください。

まず、傷が小さいため、術後の痛みが少なく、回復が早いという点が挙げられます。また、従来の腹腔鏡下手術と比較しても、術中の出血量が少なく、入院期間が短くなるという研究報告があります。さらに、手術に伴う合併症のリスクも腹腔鏡下手術と同程度とされており、安全性の面でも優れています。

また、体格の大きい方(肥満の方)に対しても、開腹手術へ移行するリスクが低いとされており、より負担の少ない手術が可能になります。加えて、ロボット支援手術は腹腔鏡下手術と比較して習熟期間が短いとされているため、合併症なく安全性を確保しながら手術を提供することができます。

「ロボット手術」と聞くと、自動で手術をするイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、実際にはどのように行われるのでしょうか?

確かに「ロボット」という言葉から、自動で手術をするのではないかと思われることがあります。しかし、実際には執刀医がロボットを操作しながら行う手術です。医師が専用のコンソール(操作台)に座り、高精細な3D映像を見ながらロボットアームを操作します。そのため、手術のすべての動作は医師が管理しており、安全性が確保されています。

また、ロボット支援手術は、専用の訓練を受け、認定を受けた医師のみが行うことができます。当院のスタッフも十分な訓練を積んでおり、安全管理のもとで手術を行っています。

最後に、地域の患者さんに向けたメッセージをお願いします。

当院は泉州地域に根ざした病院として、産婦人科診療を提供してきました。今回のロボット支援手術導入により、最新かつ高度で負担の少ない治療が提供できるようになり、治療の選択肢が広がりました。

現在、婦人科の低侵襲手術にはさまざまな方法がありますが、私たちは常に「患者さんにとって最適な治療」を第一に考えています。今後もチーム医療を通じて、安全で質の高い医療を提供できるよう努めてまいります。
お気軽にご相談ください。

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