【副院長・産婦人科主任部長:横井医師】
当院では思春期から老年期まで幅広い方々を対象に、婦人科疾患全般の診断と治療を行っています。子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、卵巣嚢腫、骨盤臓器脱などの婦人科良性疾患、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの婦人科悪性疾患などいずれにおいても近畿圏で有数の症例数を誇り、高度な医療を提供しております。婦人科良性疾患に対しては多数所属している内視鏡技術認定医を中心に安全性を第一に考えた低侵襲手術(内視鏡手術)を積極的に行っています。また婦人科悪性腫瘍に対しては地域がん拠点病院として婦人科腫瘍専門医を中心に患者さんの状態や希望を考慮した最適な治療方法を選択します。手術・化学療法・放射線療法などの治療手段のなかから、患者様の状況に応じて、治療方針を決定し、それを安全に実施するシステム(集学的治療)を構築しています。また当院は、子宮頸がん、子宮体がんに対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術の実施認定施設です。化学療法については最新のエビデンスに基づいた治療、放射線治療については放射線治療専門医と緊密に連携し、最適な治療を提供できるよう努めています。
市立貝塚病院産婦人科はりんくう総合医療センター産婦人科と2008年4月よりひとつの組織(泉州広域母子医療センター)として統合されました。センターの形態は、それぞれの病院施設をそのまま利用し、市立貝塚病院は「婦人科医療センター」りんくう総合医療センターは「周産期センター」として運用しています。現在は泉州地域の産婦人科医療を担う拠点として認知されています。2006年頃の泉南地域は産婦人科医療が崩壊寸前にありました。しかし、当センターが設立されてからは人員の大幅増加もあり、この地域でより充実した産婦人科医療を提供できるようになりました。
当院の特色としては以下のことが挙げられます。
生活様式の変化に伴い子宮体がん、卵巣がん、若年者の子宮頸がんが増加傾向にあります。
子宮頸がんは前がん病変である異形成や上皮内がんの段階で早期発見できれば子宮温存が可能ですし、命に関わるケースもほとんどありません。なので、20歳を越えれば定期的に検診を受けていただきたいです。また子宮頸がんは性行為によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)が関与しているケースが多いのですが、現在はワクチンで一定数予防できるようになってきました。検診とワクチン接種により子宮頸がんで亡くなる患者さんは確実に減っていくと考えています。
子宮体がんは割と早い段階から症状として不正出血が起こることが多いです。月経以外の出血、閉経後の出血がある場合は速やかに婦人科受診してください。
卵巣がんは症状が出にくいので早期発見が難しいがんの一つですが、下腹部が張るとか違和感がある場合は一度婦人科受診をしてください。
「すべては患者さんのために」ということをモットーに診療にあたっています。これは所属するメンバーにもいつも伝えていることで、患者さんを中心にしてチームワークよく診療にあたることを皆が心がけています。ナース、コメディカルは医療を円滑に進めていく仲間、パートナーと心得てチーム医療で質の高い治療、ケアを日々実践しています。
また当科の特徴として手術が多いので、日々手術動画を使っての解剖の勉強やドライボックスでの縫合練習などを行っています。日々の積み重ねで技術を磨き、実際の手術に入る前にシミュレーションを行うことで質の高い手術を目指しています。
婦人科疾患に対して当院で全て最新のことができるよう日々努力し、拠点病院としての自覚を持って診療にあたっています。
産婦人科医不足のなか泉州地域の産婦人科医療を守るため、市立貝塚病院とりんくう総合医療センターの産婦人科を統合したのが泉州広域母子医療センターです。病院施設を超えて20名以上の医師が診療し情報を共有することで泉州地域の産科、婦人科をカバーしています。豊富な実績をもとに高度な医療を提供するのはもちろん、産婦人科の医師育成にも大きな役割を担っています。このセンターの目的の一つである泉州地域の周産期医療を維持していくために夜間、休日の診療は市立貝塚病院とりんくう総合医療センターのスタッフが複数でりんくう総合医療センターでの診療に従事します。そのため市立貝塚病院に通院しておられる患者さんが夜間や休日に緊急事態があった場合は、りんくう総合医療センターを受診していただかないといけません。ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解いただきセンターの運営にご協力いただければ幸いです。