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「尿路結石」について

尿路とは、尿を作る腎臓から排出する尿管までの尿の排出経路のことです。
結石とは、尿の中に含まれるシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸、リン酸マグネシウムアンモニウム、シスチンなどの無機成分が飽和状態となり結晶化したものです。小さな結石は自然に尿と共に排出されますが、大きくなると尿路に詰まってしまいます。

尿路結石

尿路結石の原因

結石のリスクは、体内の無機成分のバランスが崩れることで高まります。特に上部尿路結石(腎結石・尿管結石)の発症は、動物性蛋白質や脂質の摂取量の増加と関係があることが分かっています。尿路感染や狭窄などの尿路の通過障害や薬剤の副作用なども原因となります。
男性の発症率は女性の2倍以上ですが、肉食を中心とした食の欧米化により、女性の発症率も増えてきました。

尿路結石の予防

  • 肉類などの動物性タンパク質や脂質の量を控え、野菜類を多くする
  • 塩分、プリン体を控える(レバー、魚の内臓、ビールなど)
  • カルシウム、水分を多めにとる

尿路結石の症状

激しい痛みが典型的な症状です。腎臓から尿管に結石が移動したり、結石が尿管に詰まって尿が流れにくくなり尿路の圧力が上がることで痛みが発生します。痛みは下腹部だけでなく、背中や脇腹にも起こります。その他、残尿感や頻尿、血尿なども起こります。

痛みのない結石にも注意

腎臓内に結石がとどまっている間はほとんど痛みがないため、気が付かずに増大する場合があります。極端に成長するとサンゴ状結石と呼ばれます。

尿路結石の治療

結石の部位や大きさの他、患者さまの年齢や身体状況に応じて治療方法を検討します。結石の残存状態によっては、同じ術式を何度か繰り返したり、複数の術式を併用して治療を行うこともあります。

結石が小さい場合

薬物療法で経過をみながら、結石が自然に排出されるのを待ちます。

自然に排出されない場合

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡(尿管鏡)による経尿道的尿管砕石術(TUL)で結石を細かく粉砕します。

結石が大きい場合

内視鏡(腎盂鏡)による経皮的腎尿結石破砕術(PNL)やESWL、TULを組み合わせて治療します。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

体外から衝撃波を当てて、腎臓や尿管の結石を細かく砕き、結石を尿と共に自然に排出させる方法です。超音波やX線で結石の位置を確認し、体外から衝撃波を結石に収束させて放ちます。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
メリット
  • お腹を切らないため痛みが少ない。
  • 麻酔も使わず副作用や後遺症の心配がないため、ご高齢の方や持病のある方でも治療が可能。
デメリット
  • X線に写りにくい成分の結石や骨盤に囲まれた部分の結石には対応できないことがある。

内視鏡(尿管鏡)手術:経尿道的尿管砕石術(TUL)

尿道から内視鏡(尿管鏡)を入れ、モニターで観察しながらレーザーや超音波で結石を砕いたり、砕いた結石を摘出する方法です。

内視鏡(尿管鏡)手術
メリット
  • お腹を切らないため痛みが少ない。
  • 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)では対応できないX線に映りにくい成分の結石や骨盤に囲まれた部分の結石も、直接モニターで確認できるため、確実な砕石・摘出が可能。
デメリット
  • 尿管の損傷がまれに起こることがあり、手術を中止して自然治癒を待つか、場合によっては開腹手術へ移行して治療を行う場合がある。

内視鏡(腎盂鏡)手術:経皮的腎尿結石破砕術(PNL)

腰背部から内視鏡(腎盂鏡)を挿入し、レーザーや超音波などで結石を粉砕し、結石を内視鏡により直接摘出します。

内視鏡(腎盂鏡)手術(尿管鏡)手術
メリット
  • お腹を切らないため痛みが少ない。
  • 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)では対応できない大きな結石や、尿管からの排泄が難しい腎結石などの結石の治療ができる。
デメリット
  • 腎血管の損傷による腎出血、腎盂や尿管の損傷などがごくまれに起こることがあり、出血が多い場合は輸血をする場合もある。